昨日まで元気だった親の突然の死。主人を失い、ものに溢れた家を目の前に漠然とするとは思いますが、いつまでも感傷に浸ってもいられないのが現実です。この記事では、実際に遺品整理を自分でやった経験を元に、進め方やかかった費用などを紹介しています。
遺品整理・・・自分でやれるかどうか不安。どう進めたらいいのかわからない。費用や時間はどのくらいかかるのか見当がつかない。などの方はぜひ最後までお読みください。
遺品整理の進め方のコツ
まずは遺品整理を自分でやる場合の、効率的な進め方を説明します。私たちが行なった遺品整理の対象は、両親が暮らしていた3DKのマンションです。物が溢れてた部屋を前にすると、どこから手をつけていいか途方に暮れると思いますが、大丈夫です。
まずは、どの部屋からやるかを決めましょう。それが決まったら、その部屋にあるものを、とにかく減らしていきます。本や衣類、靴など、地域ごみに出せるものをひたすら捨てていきます。
世帯数の多いマンションは、ごみ捨て場のスペースも広いですが、小さなマンションやアパート、一戸建てなどはゴミ捨て場のスペースにも余裕がないことが多いので、様子を見て迷惑にならない量を少しづつ出す必要があります。
捨てられないものは別の部屋に移して、とにかく着手した部屋の中のものをなくします。ものがなくなったところで大型家具を処分します。一部屋につき二つくらいの大型家具がありましたが、自分で解体し、乗用車で地域の粗大ゴミセンターに直接搬入しました。この方法が一番安くできます。
一部屋からっぽにできると、モチベーションが上がります。業者を使わず、自分で庵品整理をするためには、こうやって少しづつ進めるしかありません。時間と忍耐が必要ですが、コツコツ進めれば必ずいつかは終わるのです。
遺品整理を自分でやるメリット・デメリット
私たちは自分で片付けをしましたが、やってみるとメリットデメリットがあることがわかりました。状況もそれぞれ異なると思いますので、メリットデメリットを踏まえて考えると良いですね。
メリット
一番のメリットは安く済むということ。業者さんに見積もりを出したことはありませんが、調べると最低でも40万円くらいはかかりそうです。遺品整理はとても大変な作業ですので、人件費が相当かかると思いますし、ものを捨てるというのも想像以上にお金がかかるのです。反対に、あまりにも安い金額で勧めてくる業者には注意した方が良いかと思います。
安く済む他に、自分のペースで進められるというのもメリットです。捨てる捨てないの判断がつかないものや、形見分けの作業もゆっくりと進められます。丁寧にいるものといらないものを分ける作業をしたい方にはおすすめします。
デメリット
反対にデメリットもありました。一番のデメリットは、ゆっくり進めるため時間がかかるということです。固定資産税もありますし、マンションですと管理費なども消えていきます。あまり時間がかかりすぎると、業者に頼んだ方が安くなる可能性もあります。
自分でやる遺品整理にかかった費用
遺品整理の費用
次に実際に自分でやってみてかかった費用をご紹介します。人件費は無料ですので、遺品整理にかかるのはゴミの処分費用のみです。一般ごみで使用するゴミ袋は、市が無料で配布する袋を使用しましたので、かかりませんでした。
一般ごみ処分 | 500袋 | 無料 |
粗大ゴミ直接搬入 | 10kg170円 | 22,000円 |
家電リサイクル料 | 冷蔵庫、洗濯機 | 15,000円 |
人形供養 | 一箱詰め放題 | 2,500円 |
合計 | 39,500円 |
大型家具は解体して、市の粗大ゴミ処分場に乗用車で運びました。10kgで170円。これは本当に助かりました。ちなみに解体せずに回収をお願いすると、一つ数千円かかるので直接搬入をしました。
家具の解体は大変ですが、コツを掴めば簡単にできるようになります。ただ、体力はとても使います。人形供養は人形供養ドットネットさんにお願いしました。箱の大きさに関わらず一箱2,500円でした。
供養が終わると「終わりました」のお知らせが届いて終わりです。これは気持ちの問題ですので、今までありがとうという感謝の気持ちで、処分する方法を考えれば良いかと思います。
セルフリフォームの費用
次に、同時進行で行なった、リフォーム費用の内訳です。
壁紙・のり | 47,000円 |
ペンキ・シーラー | 8,000円 |
コーキング剤などの消耗品 | 10,000円 |
畳の表替え(業者さんに依頼) | 15,000円 |
クレセント施錠 | 5,000円 |
合計 | 85,000円 |
遺品整理した後に、不動産売却するならリフォームも同時進行で行うのがよいです。壁紙の張り替えをするだけでとても綺麗になります。和室があれば畳の表替えをすると見違えます。
畳の表替えとは、畳の表に張ってあるのイグサでできたゴザのようなものを、新しいものに張り替える作業です。ヘリを機械で縫い付ける作業があるので、素人にはちょっと難しいかと思います。
私たちがお願いしたのは、「さかえ畳店」さん。見積もりに来ていただき、その後現地に納品してくれました。
窓の鍵が壊れていたので部品を取り寄せて交換しました。メーカーに問い合わせれば同じものを取り寄せできるケースも多いです。このように自分で直せるところはチャレンジしてみると良いかと思います。
買取してもらえる遺品もある
遺品整理をしていると、色々なものが出てきます。もしかしたら価値のあるものもあるかもしれないので、気になったら調べてみると良いと思います。(ブランドものの服やカバン、食器、骨董品、着物、記念切手、古銭など。)
大量の小銭は銀行のATMで入金しましたが、時間がかかるので、人がいない時を見計らっていかないと恥ずかしいです・・・。ATMではじかれた小銭を含む古銭と、記念切手は買取り専門業者に持っていきました。
その中に金のコインが1枚あって、それが2万円になり、全部合わせて7万円くらいになりました。ちなみに、購入価格70万円のダイヤモンドの指輪・・・3万円と言われてショックを受けました。
売らずに身内で使うことに決めましたが、婚約指輪はダイヤモンドよりも金の方が良いかもしれない・・とかチラッと思いました。
着物もたくさんありました。振袖や留袖の他に、普段着るような綿の着物です。こちらも買取業者さんに来てもらいましたが、振袖を2,000円で買い取ってくれた他は、引き取り不可能と言われました。
他の着物は、着付けの学校の先生に引き取っていただきました。先生の話では、着物は「たとう紙」と呼ばれる紙にくるんで保存していないと、ほとんどの場合虫に食われて使えなくなってしまうそうです。
亡くなったお母さんは、全て紙に包んで保存されていたので、虫食いは全くありませんでした。お稽古に使うほか、洗浄してから布に戻し、小物などの作成に利用してくださるそうです。
最近では、若い人も着物をオシャレに取り入れたりするらしいので、なんとか受け継いでいけたら良いですね。
遺品整理はきつい?大変だったこと
大型家具の処分
遺品整理で一番大変だったのは大型家具の処分です。まずは家具を転倒防止グッズでがっちりと固定されていました。使われていたのは、突っ張り棒のようなもので天井と固定するタイプではなく、ジェル状のものを下に敷くタイプです。
下に敷くので目につかないところはメリットだと思います。移動させようとしてもびくともしないので、地震対策としては完璧なのですが、気をつけて解体しないと床を壊してしまうかと思いました。
家具の解体に活躍したのは「たがね」という道具です。木と木の隙間に差し込んで、トンカチでトントンするとこのように隙間ができて壊すことができます。
ほとんどの家具は木ダボと接着剤で組み立てていて、かなりしっかりとしていました。DIYでお馴染みの木ダボですが、バラすことを考えて作られていないんですね。
私はDIYで家具も作るのですが、なるべく運びやすく解体しやすい作りにしています。綺麗に解体できれば木材を再利用することもできますから。
綺麗に解体できた桐のタンスは、再利用するため持ち帰りました。桐は軽くていいんですよね。私にとってはお宝です。
捨てられないストレス
これは兄弟姉妹や親族など、関わる人が多ければ多いほど、捨てることに許可を取らなければいけないことが多発します。売れるかもしれないから勿体無いと感じる人がいること、それは使う可能性があるから捨てないでと言われること。
そうすると捨てられないものが山になっていくので、片付けがストップしてしまいます。こういった場合は期限を決めてもらい、ダラダラとならないように進めていくのが良いかと思います。
まとめ
遺品整理は自分だけで完結することは可能ですが、メリットやデメリットが存在します。業者に頼らず自分たちでやりきった今感じることは、やっぱり大変だった・・・。という感じです。
もう一度同じことをやれと言われたらちょっときついかも。この経験を生かし、子供たちが苦労しないように、自分は生前整理を少しづつ進めようと思いました。ものを減らしてシンプルな暮らしに近づけたいと思います。